2011年02月11日

アルチンボルド展

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エジプト情勢だけど、ますます混迷になった。ムバラクの昨夜の演説は、期待を裏切って、火に油を注ぐようなものだった。オバマでさえ、あきれた内容だ、といわんばかり。これでは、何が起きてもしょうがないかもしれない。

ところで、本日は木曜日、ミラノは博物館、美術館デーで、夜の10時半までオープンしている。というわけではないけど、はじめに通りかかったサンマウリツィオ教会に入った。ミラノ考古学博物館の隣で、マジェンタ通りに面している。教会は16世紀の建設で、内部にはところ狭しと絵が描かれている。そのなかでも、このルイーニという人の絵に描かれている女性が美しい。その時代の、ミラノ美人なのだろうか、気品のある顔立ちがとても気に入った。こういう顔の女性にお目にかかるかと聞かれれば、そういえば、この3人目は誰かに似ているが、残念ながら私の友人ではない。

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そして、ミラノのドーモ広場にある美術館に行った。昨日からアルチンボルドの展覧会が開かれている。Giuseppe Archimbordo(1527-1593)は、ミラノ生まれの絵描きで、最後もミラノで亡くなっている。初期のころは、ドーモのステンドグラスの制作も行っていて、展示されていたが、身近に見て、その出来具合に感心した。ステンドグラスは一種のコラージュのようで、小さなガラスの断片をつなぎ合わせている。そのコラージュがとても巧みだった。そのあたりが後の肖像画に結びついているのかもしれない。
アルチンボルドは、人の顔を植物や動物で構成して、いかにもグロテスクだという評価だが、私はそうは思わない。代表作は、春夏秋冬のタイトルのある肖像で、季節ごとの素材で構成している。春は花、冬は枯れ木、秋はブドウで、写真は夏で、夏野菜果物で人物が描かれている。鼻はズッキーニ、ほおは桃、あごはナシ、耳はトウモロコシ、頭にはかぼちゃ、胸にはカルチョフィといったぐあい。魚の顔はちよっと。
ときどき私でも、木の幹とか、シミとか、石とか、雲とかが人の顔に見えることがよくある。いわゆる見立てというらしいが、物が顔や動物に見えたりする。これは、幼児的な本能が残っている証拠だそうだ。そういう感覚が、アルチンボルドは優れていたのではと思う。最後の絵は、鉢にいろんな野菜が盛られているようだけど、逆さに見ると、人の顔に見える。私は逆さでなくても、ちゃんと人物がこちらを見ているのが、見える。異常か。
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2010年10月15日

18世紀フランスの画家シャルディン

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昨日の夜は、友人達にさそわれて、美術の講演会に行った。場所は、スイス領事館で、さすがお金持ちのスイスは、ビル丸ごと領事館で、なかには会議場、ホールがあり、最上階にはスイス料理のレストランまである。ミラノは、スイスに近いせいかスイス人が多く住んでいる。
公演は、シャルディン、革命以前のフランスの絵画というタイトル。スライドで彼の絵の紹介と解説で、説明はすこし気に入らなかったけど、この人の絵がすばらしかった。
シャルディンJean Simen Chardin(1699-1779)は、18世紀を代表するフランスの画家。私は、知らなかったけど、彼の絵は興味を引いた。それまでの、様式的な、クラシックな、リアルではない絵画に比べ、シャルディンの絵は、日常的なモチーフをリアルに描いている。子供や人物、それに日常的な静物だ。静物画は英語ではstill lifeだけどイタリア語ではnatura morteになる。死んでいる自然ということか。描かれているものも近代的で、絵もその後の印象派に近づいていて、モダンな時代に足を踏み込んでいると思った。多くの画家達に絶賛され、影響を与えた。ゴッホ、セザンヌ、マティス、ブラック、そしてモランディだ。シャルディンの描く人物や静物のリアリティ、光、色は、時代を先取りしているようだった。
イタリアではじめてのシャルディンの展覧会がフェラーラで開かれる。
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2010年04月08日

いろんな時代の顔

久しぶりにブレシャの隣街に出張した。だったら、天気が良いので、ブレシャの街と市博物館Santa Giulia を見た。この博物館、2度目だけど、非常に見るに値する。かつての中世の教会を改修して、古代ローマからルネッサンスまでのものがあり、ローマ時代の住居跡と教会がある。この博物館の周辺の街も、中世の雰囲気が残り、気持ちの良い散策ができる。

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さて、2度目の博物館、注目したのは、人の顔だった。意外と、彫刻や絵のなかに登場する顔の表情は、時代によって違っている。最初は、古代ローマ時代。だいたい紀元後1世紀頃の青年の顔だ。口元にわずかに、微笑み?アルカイック・スマイルというのか?が見られるが、全体的に無表情。次は、勝利の女神で、勝利しているのなら、うれしい表情があってもよさそうなものだけど、女神だから、表情が無い。でも、何かを思いつめている?男どもは戦争ばかりして、勝利と言ってもそう喜んではいられないのでは、といいたげ。そして、紀元後8世紀の十字架の宝ものだけど、そこにある家族3人の肖像は古代ローマのものだそうだ。家族の肖像だったら、笑顔でと思うのは現代人の発想か。でも父親はいない。

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次は中世の顔。同じ、後8世紀に作られた「デシデリオの十字架」にあるたぶん、デシデリオ王の像。顔の表情がなんともユーモラスで良い。きっと気楽な人生を送ったぞ、という顔をしている。そして、後11世紀頃の中世の頭柱の装飾。ロンゴバルド族のもので、北ヨーロッパから来て、北イタリアを14世紀ころまで支配していた。動物が描かれているものが多く、犬?の口の中を見ている。何となく人間味のある表情がうかがえる。

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最後に、14世紀のルネッサンス時代。天使か青年か?口元、目に表情がある。古代ローマでは彫像と人間とは違ったものだったが、この時代だと、人間味のある表情があって、人そのものになっている。まあ、笑ったり、怒ったり、苦しんだり、ある意味では分りやすい。
しかし、現代で、写真を撮るときに笑うようになったのはいつ頃からだろうか?戦前の肖像写真は、そんなに笑っていないように思うけど。
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2009年02月17日

奇怪な動物園のサンタ・アンブロージョ

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年に一度くらいの割合でこのバシリカ・ディ・サンタ・アンブロージョBasilica di S.Ambrogioに来る。ミラノで中世の雰囲気が良く残っている教会だ。建物は主に9世紀ころに建設されたようだが、ほとんどのフレスコや彫刻や装飾は失われてしまっている。残っているのは、柱頭の彫刻と祭壇の前の石棺の彫刻だけだ。
バシリカに入ると、柱に囲われたアトリオという中庭がある。その柱頭には、奇怪な動物園になっている。尾をからめた爬虫類、からみ合ってにらんでいる怪物、ユーモラスな表情の家畜?を手で抱える男、皮膚がつるっとしたやさしい目の大きな動物、そしてどの動物の背後や周りには幾何学的な縄模様が見える。何かイスラムの模様にも似ている。東洋的なイメージだ。そして、バシリカの祭壇の前にある石棺の彫刻には、キリストだろうか?男にまといつくライオン、奇怪な大きな鳥、男の頭をなぜるライオン?この他に、馬に羽根が生えたグリフォンなどもいる。どの動物も想像のなかの生き物で、ユーモラスであり、奇妙でもある。
この幾何学的な装飾と動物達は、紀元後5世紀頃に、イタリアに移住してきたロンゴバルド民族のものだ。彼らは、ドイツや北欧からやって来た。そして北イタリアの中世の時代を築いた。ロンバルディアの名称もここからであり、ミラノの北には、小さなロマネスクの教会をたくさん残している。
私は、この動物達を見るたびに、遠い中世の、素朴で、原始的で、自由な発想で彫刻を残した人たちのことを思う。彼ら以前には古代ローマの偉大な彫刻の柱頭があり、以後のルネッサンスには計算された柱頭がある。だから、柱頭に素朴な動物の彫刻を乗せたのは彼らだけだ。自由な原野を駆け巡る怪物たちや、大空を飛ぶ奇怪な鳥を自由にイメージする力を持ち合わせていたにちがいない。
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2009年02月11日

17世紀の風刺画バンボッチャンティ

友人の家におじました。この家には面白い絵がある。行くたびに見て、愛すべき登場人物たちにあいさつをする。一種の風刺画だけど、イタリアにはその伝統が無い。所有者に聞くと、バンボッチアンティBambocciantiといって、17世紀にローマで活躍したグループだそうだ。Salvatore Callot,Salvatore Rosaなどが居るが、あまり研究はされていなく、よくわからない。オランダ人の画家も居るらしい。風刺画は、北ヨーロッパやフランスには伝統があるようだ。
せっかくだから、所有者の了解を得て、写真を掲載する。所有者が亡くなったら、ブレラの美術館に寄贈される約束があるという。貴重な絵画だ。

最初の絵は、何をしようとしているのか?かつらだろうか?目をまるくして。
次は、お見合(結婚)いのシーン?異常に手が長い老いた花嫁と何かを手にもつ花婿。
そして、風刺画家カロットCallotを描いたといわれている。小人の楽隊と一緒に。
ぼけているが、裸のモデルと絵のレッスン。
右端の彼女をなぐる若者。
市場の様子。

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タグ:風刺画
posted by perabita at 10:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術・クラシック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする